仕事はもちろん、副業やプライベートでも多くの方が使用しているパソコン。
仕事で使うものは経費にすることができますが、高額なパソコンを購入した際には、その仕訳処理で悩む方も多いのではないかと思います。
この記事では「10万円以上のパソコンを経費にしたいが、仕訳処理がわからない」、「減価償却って何?」という方に向けて、3つの経費処理の方法を解説していきます。
本業はもちろんのこと、副業用に購入するパソコンも経費計上することができます。その際、パソコンの金額によって、経費処理の方法が異なります。
【パソコンを購入した場合】
10万円以上のパソコンは固定資産として法定耐用年数(4年)として減価償却することになっていますが、他にも、「一括償却資産として3年で均等償却」する方法や「少額減価償却資産の特例【青色申告】で1年で償却」する方法も選択することができます。
一般的には、10万円以上のパソコンを購入した場合は、4年間つかう消耗品費となります。でも、1年・3年と短縮できる方法もありますよ。
どの方法を選ぶかによって、同じ金額のパソコンでも1年間で使える経費が変わってきます。利益が多く出ていれば、金額の多い方法を選択することで、節税にもつながります。ひとつひとつ、見ていきましょう。
1つ目は、法で定められた耐用年数に従って、減価償却をする方法です。
パソコンの場合は、4年と定められているので、「定額法」または「定率法」を選んで経費処理をします。
一般的には、毎月同じ金額を減価償却費として計上する「定額法」を使うので、今回は定額法で償却してみましょう。
16万円のパソコンを現金で購入した場合は、16万円を4年で割り、毎年の金額を算出します。
【計算式】16万円÷4年=4万円…1年間で減価償却する金額
定額法では、これを月の金額にして毎月減価償却をしていくことになるため、1年間の金額を12ヶ月で割って、月ごとの金額を算出します。(割り切れない端数はどこかの月にまとめて構いません。
つまり、1月に購入した場合には満額の4万円を1年目から計上できますが、7月に購入した場合には、半年分の2万円の計上となるのです。残りの6ヶ月分は、5年目に計上します。
1月に購入 | 7月に購入 | |
1年目 | 40,000円 | 20,000円 |
2年目 | 40,000円 | 40,000円 |
3年目 | 40,000円 | 40,000円 |
4年目 | 40,000円 | 40,000円 |
5年目 | ー | 20,000円 |
国税庁HP:主な減価償却資産の耐用年数表
10万円以上20万円未満のパソコンは、一括償却資産として3年間で均等に償却することも可能です。
一括償却資産で処理する場合は、購入時期に関わらず「3年」となるため、購入金額を3分割して計上します。16万円のパソコンの場合、毎年53,333円となります。
【計算式】16万円÷3年=53,333円(あまり1円はどこかの年に計上)
月の金額で処理する固定資産と違い、3年間で均等に償却できるので、減価償却費の計算が簡単ですね。また、一括償却資産で処理すると、本来の耐用年数4年よりも1年早く償却できたり、計上できる金額が多いため、節税効果が高まるというメリットもあります。
国税庁HP:少額の減価償却資産及び一括償却資産
最後は、最も節税効果が大きい「少額減価償却資産の特例【青色申告】」です。
青色申告をする方に限定されますが、10万円以上30万円未満のパソコンは「少額減価償却資産の特例」を利用して一括で経費計上できます。
パソコンを一括で経費にするなら、青色申告しましょう!
ただし、この特例を利用できるのは年間で300万円までと決まっているので、パソコン以外にも購入した資産がある方は、注意してください。
また、30万円以上のパソコンはこの特例が認められないため、法定耐用年数4年で減価償却します。
国税庁HP:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
最後に、パソコンを経費で購入するときに注意しておきたいことをまとめて紹介します。
購入の方法によります。前述の通り、10万円以上のパソコンを購入して法定対応年数で経費計上するときには、年間の金額をさらに12ヶ月で割って計上していくため、たいした金額にはなりません。
年末にパソコンを買おうと思っている方は、青色申告の特例を使うか、「10万円未満に抑えて経費にしよう」と考えるのが節税効果に繋がります。
パソコン本体と同時に買ったモニターやメモリなどの周辺機器の費用については、パソコンの取得価格に含めて、一緒に原価償却をすることになります。
国税庁HPでは、以下のように述べられています。
国税庁HP:No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用
わかりやすく説明しますと、パソコンの不随費用とは以下のようなものです。
これらはパソコンと組み合わせることではじめて使用できるので、本体とセットで1単位として扱われます。ですからメモリやモニターを別々に購入してもパソコンとセットで使用することを前提として購入した場合は、合計額を取得価額として減価償却を行います。
しかし、パソコンを3台まとめて購入した場合は、パソコンは単体で機能を発揮するので1台1台別々の取得価額となります。
自宅で副業をする場合、仕事に利用するスペース分の家賃や光熱費も経費として計上できます。仕事とプライベートの割合を、規定のルールで事業に使った分を算出することを家事按分といいます。
家事按分はプライベートと共用のパソコンにも適用できるので、前述の16万円のパソコンを1日平均10時間使用していたとしましょう。そのうち8時間は仕事で使っていたとしたら、
16万円÷耐用年数4年=4万円×事業に使った割合(80%)=32,000円
32,000円を経費として計上できます。
按分比率を設定するときには、税務署にも納得できる説明ができるようにしておきましょう。こちらの記事もおすすめです。
いかがでしたでしょうか?
この記事が、パソコンの減価償却の方法を決めるお役に立てたら幸いです。
金額や、同時購入した機器など、判断に迷う部分は、税理士や、最寄りの税務署、国税局電話相談センターなどに事前に確認してください。
この記事を書いた人
古中美由紀
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