この記事では、初めて「保活」をするという方のために、「保活ってなに?」という基本から、スタートするタイミングをわかりやすくお伝えします。育休中の方だけでなく、専業主婦で再就職したいという方や在宅ワークの方にも、保活の全体的な流れ、仕事復帰への準備や段取りをイメージできるようにしました。
最新のリアルな情報は、今年4月に保育園に預けた方のお話や、リサーチの結果をもとに書いています。8年前、右も左も分からない中、当時2歳と0歳の2人の子どもを預けるために保活をした私のような迷子が、1人でも減ることを願っています。
保活とは、乳幼児のいる産休・育休中の親が、保育園やこども園などの子どもを預ける施設(以下、保育園とします)を探し、入園するための活動です。保活をすることで、子どもを安心して預けられる環境を見つけられます。
また最近では、共働きや核家族化の進展、働き方の多様化で、出産後してから働くことを考える方もいて、ますます保活する人が増えています。くわしく見ていきましょう。
保活は、子どもを預ける施設を探し、入所するための活動です。
保育園に空きがあって、預ける条件をクリアしていれば子どもは入れます。でも、働く親が増えているため、多くの自治体では保育園を希望しても入れない“待機児童”を、何人も抱えているのが現状です。
また、親としても「預けられれば、どこでもいい」というわけではありませんよね。
毎日の送迎を考えて、自宅や職場との距離、保育の内容や施設の雰囲気、他の子ども(兄弟)の状況なども考慮して、安心できる保育園にお願いしたいものです。
つまり、保活は働く親の子育てと仕事の両立のためだけではなく、乳幼児期の子どもが長い時間を過ごす場所として、安心できる環境選びという点でも重要なのです。
すでに活動をされている方はご存知のように、保活には時間と労力がかかります。
保育園の情報収集からスタートし、候補の保育園の保育方針や施設環境などを調べるために、インターネットや知人からの情報収集をしましょう。
また、自分の目で確かめるために、保育園の見学や相談会に参加することも大切です。自分の都合で好きな時間にというわけにはいかないので、余裕を持って計画します。
さらに、書類の準備と申し込みにも時間がかかります。
まずは役所のホームページから必要な書類や、預けるための条件、スケジュールをチェックしましょう。新年度(翌年の4月)入園の案内やスケジュールは、だいたい秋ごろから掲載されます。「自治体名 保育園」で検索してみましょう。
保活を始めるタイミングは、子どもが生まれる前という方が多いです。
妊娠中のほうが動きやすいですし、地域によっては保育園の待機児童が多く、入園までに時間がかかるからです。
子どもが生まれてからだと、慣れないお世話や睡眠不足で疲れてしまい、思うように時間がとれない可能性もあります。くわしく見ていきましょう。
先ほどの通り、保活の開始時期は子どもが生まれる前から始めるのがおすすめです。
子どもを保育園に預ける時期は、早い方だと生後57日以降、多くの場合は0歳または1歳の4月(新年度)からを希望しますよね。新年度から預けたい方は、自治体の募集開始スケジュールをチェックして、3〜6ヶ月前ごろから保育園の情報を収集しましょう。
職場復帰を早めるために年度の途中からという方は、保育園以外(ベビーシッター等)も含めて、妊娠初期から考えたほうが確実です。
どちらの場合も、まずは自分の住んでいる地域の保育園の状況を調べましょう。
待機児童の数や入園までの平均待機期間を知ることで、保活の開始時期を決められます。役所の保育園を担当する窓口に話を聞いたり、お子さんを保育園に預けているご近所の方に聞いてみるのも有効です。
私の住んでいる地域は、待機児童が少ないため、保育園入園を目的に引っ越してくる方もいます。住んでいる地域で預けることが難しい場合には、職場の託児施設や勤務先の自治体で、在勤者の子どもを受け入れている保育園を探すことも検討しましょう。
私も専業主婦(求職中)から2歳と0歳の子どもの保活をしたので、1次審査、2次審査で落ちたときには、夫の会社のある隣の区に申請することを検討しました。
保活を始めるのは、早い分には問題ありませんが、遅すぎる保活は、希望の園どころか預けられず待機児童になるリスクがあります。
たとえば、審査に必要な提出書類に「就労証明書」という、勤務先の人事や総務部門の記入が必要な書類があります。最近では人事総務の業務をアウトソースしている会社もあるため、発行に1週間程度かかることも考えられます。スケジュールに余裕を持って依頼して、記入間違いがないかも確認しましょう。
保育園を希望する全ての家庭に公平に対応するため、自治体は審査のスケジュールを決めています。遅れると来月の審査になってしまうので、必ず守るようにしましょう。
各家庭の状況によって、最適なスタート時期は違います。
里帰り出産をしていたり、男性が長めの育休を取得できたり、お子さんにアレルギーや持病がある場合もありますよね。
また、地域の待機児童の状況によっても異なり、都心部や人口の多い地域では、競争率も高いため、早めの保活が必要です。
一方、地方や人口の少ない地域では、待機児童数が少ないことが多く、競争率が低かったり、定員に空きがあったりする場合もあります。
ご自身やお子さん、地域の状況を考慮して、適切なタイミングで保活を始めましょう。
私は下の子を9月に出産し、11月から“求職中”という不利な状態で0歳と2歳の保活をスタート。当時、私の住んでいる地域の待機児童は少なかったものの、解消してゼロにしようとする動きがあり、定員130人超で0歳枠が18名の大型保育園の開園予定を知りました。
それでも、1次審査、2次審査に落ちましたが、下の子だけキャンセル待ちで3月20日に連絡が来て、4月入園できたのです。
その後、数ヶ月遅れて待機児童だった上の子も入園できて、保活は終了。
待機児童の解消に向けて、保育園を新設したり、定員枠を増やしたりすることもあるので、自治体のホームページはこまめにチェックしましょう。
保活の成功とは、なんでしょうか?それは、親子が共に安心できる保育園に預けて、仕事ができる状態をつくることだと考えます。
これを踏まえると、保活を成功させるポイントは下記の3つです。
ひとつひとつ見ていきましょう。
保育園選びのポイントは、地域、教育方針、施設環境です。
まず、地域は通いやすさや安全性に関わるため重要です。通勤や通園の便利さや、近くに公園や乳幼児をみてくれる病院があるかどうかも考慮しましょう。
次に、保育の方針も重要なポイントです。保育園の方針が自分の家庭の考えや子どもと合っているかどうかを確認しましょう。例えば、自然体験や体育活動に取り組んでいる保育園や、英語や音楽を取り入れている保育園など、様々です。
また、施設環境も見逃せないポイントです。保育園の建物や設備が充実しているか、清潔感があるか、安全対策がしっかりしているかなど、子どもが快適に過ごせる環境かどうかを確認しましょう。
園庭や大きな公園などでの外遊びや、散歩をしてくれるのかもチェックしておくといいですね。
その他、認可園、無認可園、公立、私立などの違いで、負担する金額や預かってもらえる時間が異なります。認可園、無認可園の負担の差については、多くの自治体で差額を助成する制度があるので、その有無をチェックしておきましょう。
残業がありそうなら、預かり時間はとても大事です。区立や市立の認可園の場合、延長できても19時や19時30分ごろまでです。私立の場合は、夕食を出して21時ごろまで預かってくれるところもありますよ。
可能な範囲で、保育園の見学・相談会への参加をおすすめします。見学・相談会に参加することで、保育園の雰囲気や施設環境を実際に見ることができます。また、保育園の保育方針や保育内容についても詳しく知り、自分の子どもに合った保育園を選ぶことができるでしょう。
さらに、見学・相談会では、保育園の職員や他の保護者と交流することもできます。他の保護者の話や体験談を聞くことで、保活における情報収集やアドバイスを得ることができますよ。
保育園に行けば、先生方がどのように子ども達に接しているかも見ることができます。先生や子ども達がニコニコ笑顔で過ごしている姿に、「ここなら大丈夫」という安心感がありました。
途中で家から近い園に転園しましたが、どちらも子どもを大切にしてくれて感謝しかありません。
保活で最も大切なことは、入園審査に必要な書類の準備と申し込み方法やスケジュールを理解して、きちんと守ることです。
ここでは、自治体によって行われる認可・無認可の一般的な流れをご紹介します。尚、私設の園は独自のルールがあるので、個別に確認しましょう。
1.自治体のHPをチェックし、入園の要件、必要な書類とスケジュールを確認する
書類の種類 | 説明 |
入園申込書 | 子どもや家庭の状況、希望する園を書く書類。 |
児童の状況 | 子どもについて、健康上の注意などを書く書類。 |
就労証明書ほか | 保育ができない状況の証明書。会社等に記入してもらう就労証明書のほか、在学なら在学証明、疾病なら診断書など、状況に合わせて必要な書類を保護者それぞれの分を準備。 |
保育認定の申請書 | 保育の必要性を認定してもらうための書類。これによって、保育園に預けられるかが決まりますが、多くの自治体では保育園の入園申し込みと同時に認定が行われます。 |
その他 | 自治体によって、追加の書類がありますので、必ず自治体のホームページをご確認ください。 |
2.必要な書類を準備する
まずは1次募集に間に合うように、書類を準備します。
それに合わせて、保育園入園に関する自治体の説明会や、保育園ごとに行われる見学会、説明会などに参加してみましょう。
1次募集と2次募集がありますが、人気の保育園は1次募集で定員枠が埋まってしまいます。1次募集に確実に間に合わせるのがおすすめです。
3.審査結果を待ち、ダメだったときには次の対策を
1次募集で入園が決まればいいですが、決まらなかったときには2次募集までにできる対策をします。
空きのある保育園の中から希望順位を決め直したり、勤務先の自治体での申請を検討したりしましょう。その他、保育施設のある仕事への転職、在宅ワークという働き方や育休の延長を検討するという方法もあります。
1次募集に落ちてしまっても、落ち込んでいては前に進めません。自分にとってベストな働き方を考えるいい機会だと思って、前向きに捉えましょう。育休中に副業を試して、在宅ワークに切り替えるという選択肢もありますよ。
私は求職中だったため優先順位(点数)が低く、子ども2人とも1次募集、2次募集で落ちました。仕事が決まっていないと保育園の優先順位は上がらず入れない、でも子どもを預ける先が決まっていないと会社は雇ってくれない…という矛盾した状況に陥りました。
夫婦で話し合って「現状を変えるには、在宅で自分で仕事をするしかない!」という結論になり、開業届けを提出し一時預かりを利用しながら仕事を開始。その甲斐もあってか、3月20日に「キャンセルが出ました」と下の子の入園が決まったのです。
今は多様な働き方がある時代です。会社への復帰にこだわらず、ご夫婦で働き方を模索するのもアリですよ!
保活を成功させるためには、スケジュールと計画を立て、夫婦で共有しましょう。
男性は、子どもが産まれても仕事にほぼ影響がないため、保活の大変さは実感し辛いものです。大まかな流れや大変さを共有しながら、気遣いや協力を得ましょう。
保育園に通うようになれば、男性も送迎や病気時の休暇取得などで、働き方を変えなければなりません。今のうちから慣れてもらうほうが、ゆくゆく楽になりますよ。
ここでは保活のスケジュール例と重要な日をご紹介します。
一般的には子どもが生まれる前、産休に入ったすぐから始めるのがおすすめです。
今年4月に入園させたママさん達への取材では、「入園希望の半年〜1年前」という声が多く聞かれました。4月入園なら、まさに今です!
遅れていても焦らず、できることから始めましょう。
【理想のスケジュール例】
重要な期日は、以下です。カレンダーに入れて、夫婦で共有しましょう。男性も会社に「就労証明」を発行してもらう必要があります。
これらの日程に合わせて、計画を立てましょう。情報を集め、必要な手続きを進めていくことで、保活をスムーズに進めることができます。
保活の成功には、適切な開始時期と計画作り、夫婦の協力が欠かせません。
保育園は子どもの成長や社会性の発達に大きく関わる場所であり、保活はそのスタートとして重要なステップだからです。
ぜひ、ご夫婦で話し合って、自分たちの希望や子どもの特性に合った保育園を選んでください。
この記事を書いた人
鈴木恵理
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