「専業主婦だから確定申告は関係ない!」なんて思っていたら大間違い。専業主婦でも確定申告が必要な場合があります。この記事では、専業主婦でも確定申告が必要なケースについて、ファイナンシャルプランナー(FP)がわかりやすく解説します。
確定申告は毎年2月15日から3月15日の期限内に行うことになっています。でも、税金を払いすぎた場合の還付申告であれば、対象の時期から5年以内ならOKというルールもあるので、気になる方は必見です。
【FPが解説】専業主婦(主夫)でも確定申告が必要なケースとは?
「確定申告」と聞くと、「稼いでいる人がするものでしょ?」とか「なんか面倒臭そう」、「ウチの夫はサラリーマンだから関係ない」なんて考えている方もいるでしょう。
でも、確定申告は対象となる人が必ずすべきもので、申告する・しないを個人で決めるものではありません。
確定申告とは、「税金を正しく納める」ために行うものです。
だから、確定申告をすることで、税金を払いすぎた人には、還付といって税金が戻ってきますし、納める税金が少なかった人は追加で支払うことになります。
「私には関係ない」なんて考えずに、毎年「確定申告する必要があるか?」を確認するものと考えてくださいね。
最初に、専業主婦でも確定申告で27万円が戻ってきた、私の実体験をお話しします。
私は2011年3月末に会社員を退職しました。
そのまま専業主婦になったので、2011年の給料は1月、2月、3月の3ヶ月分のみ。
当時、別の会社の社会保険を担当していた友人に、確定申告をしようかどうか話したところ「確定申告しても、たいして戻ってこないし労力の無駄だよ。」と言われたのを覚えています。
お恥ずかしい話ですが、確定申告とは無縁の会社員だった私は、「確定申告」の理解があいまい。
今、振り返ると、友人のアドバイスは「税金を払い過ぎている分には確定申告しなくてもいいんじゃない?時間をかけてもたいして戻ってこないから、労力の無駄だよ。」という意味だったようです。
会社員のときはFPの資格も持っていなかったので、友人のアドバイス通り「しなくてもいいか」と思いつつ、やっぱり気になって、暇にまかせて調べてみました。
すると、給料から住民税を払い過ぎていることがわかったのです。
というのも、会社員の給与から天引きされる住民税は、前年の所得額(12ヶ月分)に応じて課税される仕組み。会社員であれば給与水準は維持されることが多いため、翌年も同じような年収ペースで働く前提で毎月の給与から天引きされています。
だから、年収が減る場合には、住民税を払い過ぎている状態になるのです。
3ヶ月しか働いていない私の年収は、大まかに前年の4分の1程度。明らかに払い過ぎの状態でした。
そこで、税金が戻ってくる可能性があるとわかった私は、次は確定申告の方法を調べました。
当時は子供もいない専業主婦だったので時間はたっぷり。
いくら還付されるのかはわからなかったけど、好奇心も手伝って、退職した時の給与明細などを引っ張り出して、初めての確定申告をしてみました。
するとなんと、27万円以上も税金が戻ってきたのです!どこかの会社で1ヶ月働いたかのような金額に、夫婦で小躍りしましたw
ここからは、専業主婦でも確定申告が必要な代表的なケースを5つご紹介します。どれかに該当する場合や、調べてみて気になることがあれば、お住まいの地区を管轄する税務署に聞きましょう。
親切に教えてくれますよ。
●管轄する税務署を調べたい方はこちら(国税庁HP)
こちらはまさに、先ほどの私のケースです。
会社に在籍をしていれば、年末調整を受けられますが、退職だけして働いていないとか、パートやアルバイト、起業をした場合などは確定申告をします。
ただし、転職をした場合には、前の会社で退職時に発行された源泉徴収票を元に転職先で年末調整を受けることができます。
病気や怪我をして、多額の医療費が発生した場合、医療費控除を受けるために確定申告をします。
医療費は、生計を同一にする家族の分を合算して、誰か1人の所得から控除することができるため、一般的には、家族で最も収入の多い人が確定申告をします。
夫婦どちらにも収入がある場合には、どちらが申請するのが得か検討してみましょう。
金額の目安は下記で、医療費控除かセルフメディケーション税制のどちらかを選択します。
【医療費控除】
支払った医療費の合計から保険金などで補填される金額を引いた額が10万円を超える分が200万円を上限に控除されます。
(所得が200万円未満の場合は、総所得金額の5%の金額を超える分)
【セルフメディケーション税制】
市販の医薬品を1万2千円以上購入したときに、88,000円を上限に控除される。
●国税庁HPの医療費控除の解説
身内の会社を手伝ったり、短期間のパートやアルバイト、副業や内職などをしたりして、複数箇所から収入があるときには金額によって確定申告をする必要があります。
該当する方は、下記の記事も参考にしながら、ご自身のケースを確認してみましょう。
●副業やバイトは20万円で確定申告が必要!?申告の有無と必要な書類をFPが解説
今は専業主婦だけど、結婚前に購入したマンションや親から相続した物件を貸していて、家賃収入がある場合は確定申告の対象です。
株式投資をするときは、利益が出たときの税金の支払い方法を選ぶことができます。源泉ありの特定口座、源泉なしの特定口座、NISA口座、一般口座の4つから選ぶのですが、源泉徴収ありの特定口座とNISA口座は確定申告をしないで済むようになっています。
だから、源泉なしの特定口座、一般口座で利益が出た場合には、確定申告が必要です。
また、どの口座かに関わらず、株式投資の損失が出た場合にも確定申告をしましょう。株式投資には「損益通算」という考え方があり、損失を3年間繰り越せる制度があります。
例えば、前の年に100万円の損失が出たとします。確定申告をしておけば、翌年以降の利益から100万円分を引くことができるため、節税になりますが、申告をしなければ通常通り課税されます。
詳しくは、こちらもご確認ください。
●国税庁HP:上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
今は在宅でできる副業や不労所得、少額から始められる投資などもあり、専業主婦(主夫)といいつつも、多少の収入を得ている方も多いことでしょう。
確定申告の期限は、毎年2月15日から3月15日。その少し前ぐらいから、税務署や地域の税理士会による無料相談会もあるので、気になることがあれば利用するのがおすすめです。
確定申告はスマホでもできるようになりました。難しそうと毛嫌いせずに、「確定申告」を正しくして、納めすぎた税金は取り戻しましょう!
この記事を書いた人
鈴木恵理