気が付いたら週末全部Netflixで終わった…!あなたの周りにもそんな人が増えていませんか?
そんなあなたにピッタリなのが「映像翻訳」という仕事です。
この記事では、語学のスキルを活かして、副業で翻訳に取り組んでみたいという方に向けて、個人が在宅で取り組める映像翻訳の仕事や受注のためのコツをご紹介します。
私がこれまで通訳や翻訳の仕事で経験してきたこともお伝えしていきますね。
映像翻訳の副業をやってみてわかったこと |帰国子女じゃなくてもできる!
翻訳には主に下記の3種類があります。
出版翻訳は、一般書や絵本など書籍を出版するための翻訳です。
実務翻訳はビジネス全般に関するあらゆる翻訳をさします。契約書、マニュアル、パンフレット、論文などの他にウェブサイトなどのデジタルコンテンツも対象となります。
映像翻訳とは、海外の映像に字幕や吹替を付けるための翻訳をする仕事です。
海外の映画やドラマのイメージが強く、語学スキルが高くないとできないと思われがちですが、インターネットの中でも動画の比重が上がってきたことで、翻訳初心者でも副業で小さく始められる仕事もたくさんあります。
かくいう私も、仕事で多少翻訳の作業をしたことはあっても、1年前までは自分が翻訳を付けた映像がインターネットを通じて全世界に発信されるようになるとは夢にも思いませんでした。
そう思うと、なかなかワクワクする仕事だと思いませんか?
では、下記のポイントについてひとつずつ見ていきましょう!
映像翻訳と聞くと、まずドラマや映画の翻訳を想像すると思いますが、最近はビジネスの分野でも動画の需要は増えています。
また、Youtubeなどで個人が海外の人と直接つながりたい、という需要も高まっておりさまざまな案件があります。
映像翻訳が必要なコンテンツ:
映像翻訳には、主に「字幕」「吹替」「ボイスオーバー」という3種類があり、それぞれに独自ルールが存在します。
翻訳と一緒に流れる映像という「枠」があることで、紙ベースの翻訳とはまったく違うスキルや言葉のセンスが求められる難しくも奥深い仕事です。
収入は、翻訳者の経験や案件数によって大きく変わります。
副業として1日平均2-3時間の仕事をこなすのなら、月5万円程度が現実的なラインではないかと思います。
一般的に、英日翻訳では「元の言語の単語数×単語ごとの単価」で全体の料金が決まりますが(日英翻訳の場合は文字数単位)、映像翻訳の場合は映像そのものの長さを基に決められることがほとんどです。
セリフが少ない映像だったらラッキー!逆はもう大変…。
下記は、私が見聞きしたり映像翻訳会社のブログなどから調査した翻訳そのものの単価です。
字幕<ボイスオーバー<吹替の順に単価が高くなり、日本語から英語への翻訳の場合は単価が1.5倍~2倍になります。
受注形態・求められる翻訳レベル・納期などにより変動があります。
また、スクリプトを翻訳者側で作成する必要があるかどうか、字幕入れ編集の仕上げをどこまでするかなどによっても料金が変わってきます。
翻訳レートの一例(英語→日本語、字幕):
映像の種類 | 単価 | 1案件の収入目安 |
YouTube動画 | 400円/分~ | 2,000円~ |
e-learningなどビジネス系動画 | 800円/分~ | 5,000円~ |
CS・BS放送、WEB配信 | 5,000~16,000円/10分 | 5,000円~ |
映画 | 10,000~20,000円/10分 | 5万円~20万円 |
映像翻訳を副業で取り組む場合、自分の生活スタイルや目標とする収入に合わせてマイペースにできることが一番のメリットだと思います。
またパソコンさえあればどこでも取り組めて、経験や実績が重要な世界なので、年齢・性別・住んでいる地方など関係ないのも魅力。
たとえ仕事のブランクがあったとしても、キャッチアップする勉強さえしていけば一生続けられる仕事です。
翻訳を副業にしようと考える方であれば、既に一定程度の語学レベルを持っていらっしゃると思いますので、せっかく身につけたスキルを活かせるという点でも満足度が高いのではないでしょうか。
デメリットとしては、特にフリーランスで副業として取り組む場合、案件の受注が安定しないという点は考えておいた方がいいでしょう。
また、機械翻訳と併用されるようになったり、クラウドソーシングで翻訳エージェントなどを通さず個人が直接案件を受注するようになったことで、全体としての翻訳単価は低価格化しています。
翻訳者としての実績が少ないうちはライバルも多く、希望の条件で受注できないということが多いかもしれません。
映像翻訳の仕事をやってみたい!と考えたとき、最初にこんなお悩みを持つ方が多いようです。
結論から言うと、日本人でも英訳の仕事はできるし、TOEICも英検も関係ありません。
人の手を介した翻訳は無くならないし、本業との両立もできる。と、私は考えています。
帰国子女や英語ネイティブのいる職場で働き、映像翻訳の仕事も受注している私自身の経験を踏まえて理由をご紹介しますね。
翻訳というとこんなイメージがあるのではないでしょうか?
実は、そんなことはありません。映像翻訳はさまざまな制限の中で最適な翻訳表現を見つけていく、いわば「職人仕事」です。
リスニングやその場での瞬発力が必要な通訳とは違って、調べものに割く時間も多く、コツコツ仕事ができる人に向いています。
逆を考えてみると、日本語ネイティブの私たちでも、映像を見て聞き取れない、理解できない、説明が難しい、といったことは普通にあると思います。
私は最近、華道や茶道の先生方のYouTube動画を日英翻訳させていただいたのですが、言語化されていない部分も多く、とても難しいと感じました。
例えば、桜が映像に出てきて、日本人が抱くその季節の特別感をどういう単語で表現するかと考えたとき、ただ帰国子女であったり日本語堪能な外国人というだけでその翻訳ができるとは限らないんです。
また、ビジネス文書翻訳の場合ではありますが、英日翻訳では原文の英語が透けて見える翻訳をつけてしまう帰国子女やネイティブは多いです。
特に、文字数の制約が厳しい映像翻訳の中では、原語の意図を汲みつつ大胆に文章を置き換える必要があり、創造力や日本語での表現力が大切です。
ある通信翻訳講座で紹介されていた、受講に必要とされる語学力の目安は、「TOEIC750点以上、または英検準1級以上(英語講座の場合)」でした。
ここから実際に翻訳で仕事を受けるにはTOEIC800点以上が目安になるそうです。
翻訳は単価ベースの仕事のため、いちいち辞書をひかないといけないような語学力では苦労することは目に見えています。
しかし、TOEIC満点でも話したり書いたりするアウトプットに関しては中学英語レベルという人は実際にいますし、資格を持っていることと良い翻訳ができることはイコールではないはずです。
発注する側としては、他に何も判断材料がなければ、資格は一定レベルの語彙力が担保されているという安心材料にはなるでしょう。
ただ、資格を持っていないからNGとはなりません。
それよりも、実績や、どれだけの期間でどんなアウトプットが出せるかがより重要視されます。
機械翻訳に淘汰されるという心配は「ジャンル」「期待される翻訳レベル」によると思います。
契約書や論文など型の決まっているものに関しては、機械が主流で人間が補助という日も遠くないと個人的には思います。
ビジネス文書など、ざっくり意味をとるレベルなら無料でもそれなりの文章に仕上げてくれるものが増えてきました。
あるいは、機械翻訳を前提にした原文であれば訳出精度が上がるので、そういった変化が起きてくると、翻訳者の仕事内容も変わってくるかもしれません。
ただ、映像翻訳に関しては、文を訳すというよりそのシーンで言葉や文化のバリアがなければ受け取られているであろう情報(心の機微や雰囲気も含め)を丸ごと訳す必要があります。
しかも文字数などの制限もあるので、機械翻訳に置き換わるとは想像がしづらいです。
翻訳全般に言えることですが、まず自分が翻訳している内容を理解できなければ正しく訳せません。
わからないことがあれば調べ、たった数秒の訳に1時間近く頭を悩ませることもあります。
そして、やっと見つけた言葉が制約に合わなければまた悩む。
そうやって粘り強く取り組める研究者気質、職人気質の人にはぜひチャレンジしてみてほしい仕事です。
また、背景や言葉を調べながら新しい世界や知識に出会えることも好奇心旺盛な人には楽しいと思います。
映像翻訳が必要とされるコンテンツには、YouTube動画や著名人のインタビュー動画、E-learningや商品紹介動画など数分単位の短いものも多くあります。
これらは、本業が終わってからの数時間や土日だけでも取り組みやすいでしょう。
字幕を入れる枠や時間を区切る作業だけ、AI翻訳したものを修正するチェッカー業務だけといった分業の仕事もありますよ。
映画など長尺の映像や海外ドラマのシリーズ一挙配信などの案件は、数人の翻訳者に分けて発注されることもあるそうです。
実績を積み人脈を作れば、そんな案件に関わるのも夢ではないかも?
ただし、英語を使った仕事でも、報酬の時間効率だけで言えば通訳の方が何倍もいいので、翻訳作業そのものを楽しめる映像コンテンツや、自分なりのモチベ―ションを見つけるのが楽しく続けるコツではないかと思います。
私も、本業の繁忙期は避け、夜や土日に余裕があるときだけ翻訳の仕事を受けています。
副業から本業としてフリーランス翻訳家へ転身される方もいらっしゃいます。
継続的に安定した件数を受注できるだけの実績・営業活動や、十分な案件数をこなせるスピード、自己管理力がより求められるので、副業を通じて自分のペースを知り、実績を積めるといいですね。
映像翻訳では、「出版翻訳」「実務翻訳」と大きく違うさまざまな制約があります。
だからこそ、経験を積んだ人の方が仕事を受注する上で重宝され、より高い報酬を得ることにつながっています。
大きなポイントを3つご紹介します。
もっとも大きな違いは字数制限です。
英日の字幕翻訳の場合、1秒の英語に対して日本語字幕は4文字以内、字幕は2行以内という基本ルールがあります。
また、視聴者は字幕ではなく映像を見たいので、字幕を一瞬見て意味が取れるような翻訳が必要です。
字数の他にも特殊ルールがたくさんありますが、その制約の中で映像を見ればわかる情報は捨て、原語での文化や背景の情報など見てもわからない情報は補い、かつ自然に理解できる言葉に置き換えるのは簡単ではありません。
声を大にして言いたい!5分の映像は5分じゃ訳せないんだよー!よー!よー!(こだま)
1分間の映像には、文字情報に換算して180万文字分の情報量があるとも言われています。
視聴者がそのシーン自体の文脈も含めた解釈ができるようにセリフなどを翻訳するためには、翻訳者自身の原語のスキル、理解力や創造力、翻訳先言語の表現力などさまざまな力が必要です。
特に日英翻訳では、主語や目的語など文法的な補足情報だけでなく、「行間を読み」それを補足しないと意味が通じなくなってしまいます。
翻訳会社などから仕事を受注する場合、字幕入力専用ソフトの使用経験があることやソフトの保有が条件になっていることがほとんどです。
初期投資と年間ライセンスを合わせると10万円以上の出費になります。
YouTubeや企業動画の案件ではWordなど一般的なソフトで納品可能な案件も多いため、副業で始めるならまずは専用ソフトが不要な案件から取り組むのがおすすめです。
映像翻訳の仕事を見つけるにはいくつか方法があります。
副業で始めるなら、まずはクラウドソーシングサイトでどんな案件があるか見てみましょう。
YouTube動画の翻訳をはじめ、未経験や特別なソフトがなくてもできる案件が多く登録されていますよ。
その分、単価は相場に比べてかなり低いことと競争が激しいことは覚悟しておかないといけません。
とはいえ、翻訳の仕事は実績を積んではじめて案件が回ってくる世界です。単価が安い案件でも数をこなすなかで自分の作業ペースをつかみ、評価を積み上げ、継続案件がありそうなクライアントとつながりを作る場、と割り切って利用するのが良いと思います。
本格的に映像翻訳に取り組むのであれば、翻訳スクールに通うか通信の翻訳講座で勉強し、翻訳の基本的なルールや翻訳ソフトの使い方を覚える必要があります。
通学できるスクールは大都市にしかないため、地方で副業を考えるなら通信講座を受講するのが現実的です。
同じ目標を持つ仲間ができますし、「フェロー・アカデミー」や「インタースクール」といった翻訳会社をグループに持つスクールであれば、在学中でも勉強と並行してトライアルを受けたり仕事を紹介してもらえることもあるそうですよ。
案件をこなし実績と自信がついてきたら、翻訳専門の求人サイトへ登録しましょう。
翻訳会社のホームページや翻訳求人サイトから案件を見つけたら、履歴書や職務経歴書とともに自分の情報をサイト上で登録し応募が完了します。
書類審査が通れば、翻訳テストを受け、合格すれば晴れて案件を受注することができます。
1社だけではなく、複数社と契約を結ぶのが一般的です。
翻訳スクールのフェロー・アカデミーが運営する「アメリアネットワーク」のほか、このような翻訳会社があります。
安定して継続的に案件を受注するためには、どんなコツがあるのでしょう?
翻訳スキルはもちろんのこと、発注者側としての視点も踏まえて3つご紹介します。
レギュラー案件が獲得できるようになるまでは、トライアルをこなす必要があります。
翻訳会社の繁忙期にはトライアルの結果が届くまで数か月かかる、という話もあるのでコツコツと応募し続けることが大切です。
また、短納期でボリュームがあるような案件の場合、実績が少ない人にでも稼働してほしい、という状況が発生します。
その時に即対応できる(少し無理をしてでも)翻訳者であれば発注側にとってはありがたいので声がかかりやすくなるでしょう。
クラウドソーシングで案件を探す場合、意外と「きちんとしたビジネス対応」ができるかどうかは受注率に関わってきます。
私は発注側でクラウドソーシングを利用したことがあるのですが、その際に案件の内容や条件をまったく読んでいないような応募や、いかにもコピペ、ビジネスマナーがなっていない方々からの応募が半分くらいあり驚きました。
当たり前のことですが、発注側が安心してやりとりできるようビジネスマナーを守ったコミュニケーションを心がけましょう。
先ほど資格は不要と書きましたが、特にクラウドソーシングでは発注側がまったく英語ができない場合もあるので、TOEICや英検などわかりやすい資格をプロフィールに書いておくと安心材料になります。
語学以外でも、あなたがこれまで経験してきた仕事や、自分の専門分野・得意分野があれば、プロフィールに記載しましょう。
私の場合、過去にメーカーで働いていた経験があり、工業製品の商品紹介動画などマニアックな単語が出てきても対応できるという強みがあります。
応募の際にはそういったアピールポイントも書き添えておくと他の応募者と差別化できますよ。
また、意外と重宝しているのがテープ起こし(スクリプトを作る)や動画編集のスキルです。
翻訳の後には編集作業が発生しますので、クラウドソーシングで受けるような小規模の案件であれば、こういった前後工程の作業も請け負えると重宝されますし、受注単価を上げることもできるでしょう。
英⇔日の需要は大きいものですが、その分ライバルも多いです。
その点、韓国語や中国語、その他のアジア系言語にも対応できると、発注側は多言語の案件を一括で依頼でき、ライバルも少ないため受注に有利になるでしょう。
英語以外の言語では単価が20%ほど高い料金となるのも魅力です。
個人や法人を問わずさまざまな場面で動画が使われる機会が増え、海外とのつながりも身近なものになっています。今後、映像翻訳ができる翻訳者の需要はますます高まっていくでしょう。せっかく語学のスキルを持っているなら、一歩踏み出して自分の仕事が全世界に発信されるワクワクを体験してみてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
平井 カヨコ
みんなのチーアップ体験談をご紹介!